当委員会は、3月18日、標記の不当労働行為救済申立事件について、命令書を交付しましたのでお知らせします。命令書の概要は、以下のとおりです(詳細は別紙(PDF))。
1 当事者
申 立 人 X1(東京都北区)
同 X2(東京都北区)
同 X3(東京都港区)
被申立人 Y1(東京都中央区)
同 Y2(東京都港区)
2 争 点
⑴ 元年11月13日、2年3月13日及び5月28日に行われたシニア契約社員の給与、賞与及び有給休暇に関する団体交渉におけるY1(以下「会社」という。)の対応は、不誠実な団体交渉及び支配介入に当たるか否か(争点1)
⑵ 会社が不当労働行為責任を負う場合、Y2(以下「Y2」という。)は、会社の不当労働行為責任を承継するか否か(争点2)
3 命令の概要 <救済>
⑴ 争点1について
組合らは、長年にわたりシニア契約社員の処遇改善を会社に要求し、社会情勢や定年後再雇用を取り巻く環境の変化に応じて、会社に改善すべき根拠を示してきており、団体交渉においても、シニア契約社員の給与が低いことなどについて根拠を示した上で、パートタイム・有期雇用労働法の説明義務に基づく具体的な説明を求めていたのに対し、会社は、組合らの質問に応じた具体的な説明や回答を行わず、従前と同様の抽象的な回答を繰り返していたのであるから、元年11月13日、2年3月13日及び5月28日に行われたシニア契約社員の給与を議題とする団体交渉における会社の対応は、不誠実な団体交渉に当たるといわざるを得ない。
⑵ 争点2について
3年9月1日、会社とY2とは、吸収分割契約により、会社を分割会社、Y2を承継会社として、承継事業を会社からY2に承継させており、吸収分割契約によって労働契約が会社からY2に承継された従業員の中には、組合に所属している従業員も含まれている。
承継事業に関連する債権債務は、会社からY2に免責的に承継され、同事業に従事する従業員の労働契約は、3年9月1日に、会社からY2に承継されている。また、雇用に関する会社と従業員間のすべての債務等も会社からY2に免責的に承継された。
このような状況においては、会社からY2に承継される権利義務の一つとして不当労働行為責任も承継されると解すべきである。
<参考>命令に不服がある場合、当事者は次のいずれかの手続をとることができる。
・中央労働委員会に再審査申立て(申立人及び被申立人15日以内)
・東京地方裁判所に取消訴訟を提起(被申立人30日以内、申立人6か月以内)