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G事件(令和3年不第82号事件)命令書交付について

当委員会は、4月11日、標記の不当労働行為救済申立事件について、命令書を交付しましたのでお知らせします。命令書の概要は、以下のとおりです(詳細は別紙)。

1 当事者

申 立 人 X1(東京都中央区)

  同   X2(東京都中央区)

被申立人 Y(東京都品川区)

2 争 点

⑴ 契約者は、会社との関係で労働組合法上の労働者に当たるか(争点1)

⑵ 契約者が労働組合法上の労働者に当たる場合、①申立人組合らが令和3年1月6日、6月29日及び8月18日付けで申し入れた団体交渉に会社が応じなかったことは、正当な理由のない団体交渉拒否及び申立人組合らの運営に対する支配介入に当たるか、②会社が、7月12日付文書を全契約者に対して交付したことは、申立人組合らの運営に対する支配介入に当たるか(争点2)

3 命令の概要 <棄却>

⑴ 争点1について

本件において、①契約者は、会社の業務遂行に不可欠な存在として会社の事業組織に組み入れられており、②会社が契約内容を一方的、定型的に決定しており、③契約者の得る報酬は、契約者の労務の提供に対する対価とみる余地もあるが、事業報酬とみる余地も十分にあり得るものであり、④契約者が会社からの業務の依頼に対して基本的にこれに応ずべき関係にあると認められ、⑤契約者が、広い意味で会社の指揮監督の下に業務を遂行しているとはいえず、その業務の遂行については時間的拘束を受けているとまでは認められないが、一定の場所的拘束を受けていると認められ、⑥契約者は、相当程度の事業者性を備えていると認められる。

そして、①事業組織への組入れの点について、⑤広い意味での指揮監督下の労務提供の有無及び程度、⑥契約者の顕著な事業者性の有無及び事業者性の程度を踏まえると、契約者が事業組織に組み入れられているとしても、それは、労働力としての側面のみならず、事業者という側面もあるものと認めるのが相当である。

また、③契約者の受領する報酬については、⑥契約者の事業者性の有無及び事業者性の程度と併せ考慮すれば、事業報酬としての性格を持つ場合もあり、契約者自身の労務の提供の対価又はこれに類する収入としての性格のみを有するとまでは認められない。

以上の事情を総合的に勘案すれば、本件における契約者は、会社との関係において労働組合法上の労働者に当たらないと解するのが相当である。

⑵ 争点2について

本件における契約者が会社との関係で労働組合法上の労働者に当たらないことは、上記判断のとおりであるから、その余の点について判断するまでもなく、本件で不当労働行為が成立する余地はない。

 

<参考>命令に不服がある場合、当事者は次のいずれかの手続をとることができる。

・中央労働委員会に再審査申立て(申立人及び被申立人15日以内)

・東京地方裁判所に取消訴訟を提起(被申立人30日以内、申立人6か月以内)

記事ID:044-001-20241018-009291