【別紙】P事件(平成31年不第20号事件)命令書交付について
1 事件の概要
⑴ 申立人X1の前身であるA1(その後、「A2」、「A3」と名称を変更した。以下、名称変更の前後を通して「組合」という。)は、平成31年3月9日、被申立人Y1(以下「Y1」という。)に対し、団体交渉を申し入れたが、Y1は、団体交渉に応ずる義務はないなどとしてこれを拒否した。
⑵ 3月13日、組合は、Y1を被申立人として、当委員会に対して本件不当労働行為救済申立てを行い、その後数回にわたり請求する救済の内容を追加した。当委員会は、本件について請求する救済の内容を整理しつつ審査手続を進め、令和4年12月16日、本件は結審した。
⑶ 当委員会の事務局は、本件結審時の申立人である「A3」に関する資格審査資料が提出されていなかったことから、組合に対し、数度にわたり関連資料の提出を求めた。
⑷ 5年7月26日、組合は、当委員会に対し、同月19日の臨時総会において、①主たる事務所の所在地を肩書地に移転すること、②組合名称を「X1」に変更すること、③組合費長期滞納者の除籍処分を行うこと、④社会的な役割を終えたことに鑑み、解散すること、⑤解散に伴い、清算人にX2を選任することをそれぞれ決議した旨の臨時総会議事録と共に、㋐「X1」は、同月19日の臨時総会決議に基づき解散したこと、㋑今後は精力的に未収債権の回収、未払債務の支払及び未完了業務の遂行に励行する旨が記載された「上申書」を提出した。
また、7月26日、組合は、当委員会に対し、「X1」に関する資格審査資料も併せて提出した。
2 主 文 <却下>
本件申立てを却下する。
3 判断の要旨
当委員会が申立人組合の資格審査を行った結果、資格審査「決定書」のとおり、申立人組合は労働組合法第2条の規定に適合しない。したがって、申立人組合が労働組合法上の救済を受ける資格を有するものと認めることはできない。
4 資格審査「決定書」の判断の要旨
⑴ 組合は既に解散を決議して清算手続中であり、清算組合の行う事業は、「未収債権の回収、未払債務の支払及び未完了業務」に限られるから、組合の主たる目的が、労働組合法第2条の規定する「労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ること」であるということは困難である。また、組合の構成員は清算人1名のみであり、解散を決議していることから、今後組合員の増加を見込むことはできず、組合に団体性があるということもできない。
⑵ したがって、組合は、「労働者が主体となつて自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体」という労働組合法第2条の要件を欠いているといわざるを得ない。
⑶ 以上のとおり、組合は、労働組合法第2条の要件を欠いていることから、組合が、同法に規定する手続に参与し、同法による救済を受ける資格を有するものであると認めることはできない。
5 命令書交付の経過
⑴ 申立年月日 平成31年3月13日
⑵ 公益委員会議の合議 令和5年11月21日
⑶ 命令書交付日 令和6年1月12日