当委員会は、本日、標記の不当労働行為救済申立事件について、命令書を交付しましたのでお知らせします。命令書の概要は、以下のとおりです(詳細は別紙(PDF))。
1 当事者
申立人 全国一般三多摩労働組合(東京都国立市)
被申立人 株式会社LT(東京都立川市)
2 争 点
⑴ 会社が、X2をすみれ訪問看護ステーション(以下「すみれST」という。)の管理者として任命せず、すみれSTの事業を廃止したこと(以下「本件事業廃止」という。)は、同人が組合に加入したこと及び正当な組合活動をしたことを理由とする不利益取扱い並びに組合の運営に対する支配介入に当たるか。
⑵ 会社が、3年6月30日にX1を、8月31日にX2、X3及びX4(以下、この組合員3名を「X2ら3名」という。)をそれぞれ解雇したことは、同人らが組合に加入したこと及び正当な組合活動をしたことを理由とする不利益取扱い並びに組合の運営に対する支配介入に当たるか。
⑶ 会社が、8月17日にX2及びX3の兼業先に勤務実態の照会を行ったこと(以下「本件兼業照会」という。)は、X2及びX3が組合に加入したこと及び正当な組合活動をしたことを理由とする不利益取扱い並びに組合の運営に対する支配介入に当たるか。
⑷ 第1回から第3回までの団体交渉における会社の対応は、不誠実な団体交渉及び組合の運営に対する支配介入に当たるか。
⑸ 会社が、第4回の団体交渉申入れ(以下「本件団体交渉申入れ」という。)に応じなかったことは、正当な理由のない団体交渉拒否及び組合の運営に対する支配介入に当たるか。
⑹ 会社が、6月25日付けの回答書並びに第1回及び第2回団体交渉において、X1に対して、解雇を争う場合は懲戒処分の手続を進めるとしたことは、組合に加入したこと及び正当な組合活動をしたことを理由とする不利益取扱い並びに組合の運営に対する支配介入に当たるか。
3 命令の概要 <一部救済>
⑴ 会社が、X2を管理者に任命しなかったことは不当労働行為意思に基づくものとはいえず、本件事業廃止を行ったことには会社の当時の状況から無理からぬ事情があり、不当労働行為に当たるとはいえない。
⑵ 会社は、X1が組合に加入する以前から同人の勤務態度を問題視しており、X1の解雇は不当労働行為に当たらない。また、X2ら3名の解雇は、本件事業廃止を理由とするものであるから、不当労働行為に当たらない。
⑶ 会社は、X2及びX3に解雇することを既に通知しており、両名の兼業先に本件兼業照会を行う必要性は認められず、かつ、本件兼業照会は、組合が反対する中で一方的に行なわれており、組合の運営に対する支配介入に当たる。一方で、X2及びX3に本件兼業照会により不利益が生じたことについて具体的な疎明がないため、不利益取扱いに当たるとはまではいえない。
⑷ 会社は、第1回から第3回までの団体交渉で、本件事業廃止等の議題について根拠となる資料を示したり、相応の説明をしたといえるから、会社の団体交渉における対応は、不当労働行為に当たるとはいえない。
⑸ 本件団体交渉申入れの議題のうち、社会保険料の負担については新たな労働問題であり、これに応じなかったことは正当な理由のない団体交渉拒否に当たるが、会社が、これに対して理由もなく無視したとはいえないから、組合の運営に対する支配介入に当たるとまではいえない。
⑹ 会社は、X1の組合加入前に、既に同人に懲戒事由があることを認識していたのであり、会社が、当初は穏当に退職を促し、これに応じなかった場合は懲戒解雇の手続を進めるとしたことは、不当労働行為に当たるとはいえない。
<参考>命令に不服がある場合、当事者は次のいずれかの手続をとることができる。
・中央労働委員会に再審査申立て(申立人及び被申立人15日以内)
・東京地方裁判所に取消訴訟を提起(被申立人30日以内、申立人6か月以内)
問合せ先 労働委員会事務局審査調整課 電話 03-5320-6990 |