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A事件(平成30年不第87号事件)命令書交付について

当委員会は、本日、標記の不当労働行為救済申立事件について、命令書を交付しましたのでお知らせします。命令書の概要は、以下のとおりです(詳細は別紙)。

1 当事者

  申立人   X1(組合)

X2(組合)

被申立人  Y1(法人)

2 争 点

⑴ 法人が組合員X3を定年後再雇用しなかったことが、組合活動を理由とした不利益取扱い及び支配介入に当たるか否か。

⑵ 法人が、団体交渉の開始に当たり、組合の参加者や発言者の数を制限するよう求めたこと及び組合の参加者を写真撮影しようとしたことが、支配介入に当たるか否か。

⑶ 組合による団体交渉の申入れに対する法人の対応が、正当な理由のない団体交渉拒否ないし不誠実な団体交渉に当たるといえるか否か。

3 命令の概要 <一部救済>

⑴ 法人では、定年退職者が再雇用を希望した場合には、それを尊重する運用をしていたとみるべきところ、法人は、労使間の緊張が高まる中で執行委員長として分会活動を主導してきたX3を職場から排除し、組合の勢力を減殺するために、X3を再雇用しなかったというべきであるから、法人がX3を再雇用しなかったことは不利益取扱い及び支配介入に当たる。

⑵ 団体交渉開始後は、法人は組合側の参加者や発言者の数を制限するよう求めたり、写真撮影を強行したこともなく、団体交渉の進行が実質的に妨げられた事情もないのであるから、団体交渉の開始に当たり、法人が組合の参加者数等の制限や写真撮影を求めたことが支配介入に当たるとまではいえない。

⑶ 法人が団体交渉に応じたのは、申入れから2か月以上経過した、認知症対応型通所介護事業の一般の通所介護事業への一本化の実施直前だったのであり、法人の対応は、この一本化の直前まで交渉の機会を引き延ばし、事実上、組合の要求をくむことなく実施に踏み切ろうとしていたものとみざるを得ず、団体交渉の拒否に当たる。

⑷ 法人は、平成30年4月1日付け、31年4月1日付け及び令和2年4月1日付けでX3を再雇用したものとして取り扱い、組合への文書交付及び職場への文書掲示(要旨:上記⑴及び⑶が不当労働行為と認定されたこと。今後繰り返さないよう留意すること。)を行うこと。

 

<参考> 命令に不服がある場合、当事者は次のいずれかの手続をとることができる。

・中央労働委員会に再審査申立て(申立人及び被申立人15日以内)

・東京地方裁判所に取消訴訟を提起(被申立人30日以内、申立人6か月以内)

記事ID:044-001-20241018-009225