令和3年7月8日 

東京都労働委員会事務局 

 

W事件命令書交付について

 

当委員会は、本日、標記の不当労働行為救済申立事件について、命令書を交付しましたのでお知らせします。命令書の概要は、以下のとおりです(詳細は別紙)。

 

1 当事者

申 立 人   X1(組合)

被申立人  Y1(法人)

 

2 争 点

平成291020日(第7回)から31年4月19日(第14回)までの間に行われた団体交渉における法人の対応が、不誠実な団体交渉に当たるか否か。

 

3 命令の概要 <棄却>

⑴ 定期昇給等ができない理由の説明

法人は、定期昇給等ができない財政上の理由について、財務資料や具体的な数字を挙げて一定程度説明しており、資料を提示できないときはその事情を説明していたのであるから、法人の対応が不誠実とまでいうことはできない。

⑵ 組合の提案への対応

法人は、組合の要求に応じてその都度、生徒数の減少、経営状況が厳しいことを理由に定期昇給停止を実施すること、また、物価水準が変わらない中で生活水準を維持するために前年度の賃金水準を維持したいことを理由に賞与を削減しないことを説明している。法人は、定期昇給を実施して賞与を削減するという組合の提案を受け容れることができないとしても、組合の要求に対してその都度一定程度の説明をしており、法人の対応が不誠実とまでいうことはできない。

⑶ メリット昇給や特別休暇制度に関する説明

法人がメリット昇給の対象基準や勤務評価を実施することについての一定の考えを説明する一方で、組合は導入に反対して同じ主張、質問を繰り返すにとどまっている。また、法人は、特別休暇制度が既に28年度から運用されている中で、特別昇給制度の廃止と特別休暇制度の新設の経緯と趣旨を繰り返し説明し、再検討しない理由についても説明している。したがって、法人の対応が不誠実ということはできない。

 

<参考>

命令に不服がある場合、当事者は次のいずれかの手続をとることができる。

・中央労働委員会に再審査申立て(申立人及び被申立人15日以内)

問合せ先

労働委員会事務局審査調整課

電話 0353206985

・東京地方裁判所に取消訴訟を提起(被申立人30日以内、申立人6か月以内)