令和4年11月25 

東京都労働委員会事務局 

 

U事件命令書交付について

 

 

当委員会は、本日、標記の不当労働行為救済申立事件について、命令書を交付しましたのでお知らせします。命令書の概要は、以下のとおりです(詳細は別紙)。

1 当事者 

申立人  X1(東京都新宿区)

被申立人 Y1(東京都港区)

 同   Y2(東京都港区)

2 争 点

⑴ 配達パートナーが、労働組合法(以下「労組法」という。)上の労働者に当たるか否か(争点1)

⑵ Y1は、配達パートナーである組合員との関係で労組法上の使用者に当たるか否か(争点2)

⑶ 組合が申し入れた団体交渉に対し、Y1及びY2´(現Y2)が応じなかったことが、正当な理由のない団体交渉拒否に当たるか否か(争点3)

3 命令の概要 <全部救済>

⑴ 争点1について

本件では、プラットフォームを利用して業務を遂行する配達パートナーの労働者性が争点となっている。Bは、配達パートナーに対し、プラットフォームを提供するだけにとどまらず、配達業務の遂行に様々な形で関与している実態がある。そして、@事業組織への組入れ、A契約内容の一方的・定型的決定、B報酬の労務対価性が認められ、C業務の依頼に応ずべき関係、D一定の時間的場所的拘束は認められないものの、広い意味での指揮監督下の労務提供が認められ、E顕著な事業者性は認められないから、これらの事情を総合的に勘案すれば、本件配達パートナーは、労組法上の労働者に当たる。

⑵ 争点2について

Y1は、Y2から業務委託を受け、配達パートナーへのサポート業務を行っている。Y1と配達パートナーとの間には直接の契約関係は存在しないが、Y1は、広報・法務・契約業務、配達パートナーの登録手続、教育、アカウント停止措置の運用、パートナーセンター及びサポートセンターの運営等を所管して、団体交渉事項のほとんどを取り扱っており、○○○○○○○事業について、実質的に配達パートナーへの対応を行っている。

また、○○○○○○○事業については、同事業に携わる関連会社各社の役割分担が明確に区別されているとはいえず、実質的には、関連各社が事実上一体となって、同事業を展開し、運営していたとみるのが相当である。

したがって、Y1は、配達パートナーの労働条件等に関する団体交渉事項について、配達パートナーとの契約の当事者であるY2と共に、現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にあったとみるのが相当であり、団体交渉に応ずるべき使用者の地位にあるというべきである。

⑶ 争点3について

○○○○○○○事業における配達パートナーが、労組法上の労働者に当たることは争点1で判断したとおりである。Y2は、日本における○○○○○○○事業の運営主体であり、配達パートナーとの契約の当事者でもあることから、同社及びその前身であるY2´は、配達パートナーの労働条件等について、組合との団体交渉に応ずべき地位にあるところ、同社は、配達パートナーの労働条件等に関するものを団体交渉事項とする組合の団体交渉申入れに対し、これに応じていないのであるから、同社の対応は、正当な理由のない団体交渉拒否に該当する。

また、Y1は、争点2で判断したとおり、配達パートナーの労働条件等について、団体交渉に応ずるべき使用者の地位にあるところ、同社は、配達パートナーの労働条件等に関するものを団体交渉事項とする組合の団体交渉申入れに対して回答をせず、団体交渉に応じていないのであるから、同社の対応は、正当な理由のない団体交渉拒否に該当する。

 

<参考>命令に不服がある場合、当事者は次のいずれかの手続をとることができる。

・中央労働委員会に再審査申立て(申立人及び被申立人15日以内)

・東京地方裁判所に取消訴訟を提起(被申立人30日以内、申立人6か月以内)

問合せ先

労働委員会事務局審査調整課

電話 035320699869866991