令和5年1月26日 

東京都労働委員会事務局 

 

F事件命令書交付について

 

当委員会は、本日、標記の不当労働行為救済申立事件について、命令書を交付しましたのでお知らせします。命令書の概要は、以下のとおりです(詳細は別紙)。

1 当事者

申立人  X1(東京都台東区)

被申立人 Y1(宮城県仙台市

 同   Y2(福島県双葉郡楢葉町

 同   Y3(福島県いわき市

2 争 点

 Y1が、雇用確保に係る団体交渉を拒否した状態で、X3を解雇したことは、組合員であること等を理由とする不利益取扱い及び組合運営に対する支配介入に当たるか否か(争点1)

 Y1が、同社の○○○○○○○○ターミナル(以下「○○ターミナル」という。)の運転手全員を解雇後、両組合員に対して雇用確保のための措置を講じなかったことは、組合員であること等を理由とする不利益取扱い及び組合運営に対する支配介入に当たるか否か(争点2)

 組合の本件団体交渉申入れに対し、Y1が応じなかったことは、正当な理由のない団体交渉拒否に当たるか否か(争点3)

 Y2が、雇用確保に係る団体交渉を拒否した状態で、X2を解雇したことは、組合員であること等を理由とする不利益取扱い及び組合運営に対する支配介入に当たるか否か(争点4)

 Y2が運転手全員を解雇後、X2に対して雇用確保のための措置を講じなかったことは、組合員であること等を理由とする不利益取扱い及び組合運営に対する支配介入に当たるか否か(争点5)

 組合の本件団体交渉申入れに対し、Y2が応じなかったことは、正当な理由のない団体交渉拒否に当たるか否か(争点6)

3 命令の概要 <一部救済>

   争点1について

Y1は、団体交渉を拒否した状態ではあったが、民事再生手続に基づく事業廃止に伴い、○○ターミナルで勤務していた同社所属の運転手5名全員を組合員であるか否かにかかわらず解雇したのであるから、同社がX3を解雇したことは、組合員であることを理由とする不利益取扱いにも組合運営に対する支配介入にも当たらない。

 争点2について

Y1が、組合員であるX3の雇用確保について、他の従業員と異なる取扱いをしたということはできないから、同社が同人に対して雇用確保のための措置を講じなかったことは、組合員であることを理由とする不利益取扱いにも組合運営に対する支配介入にも当たらない。

Y1は、同社の従業員、Y2の従業員のいずれに対しても、雇用確保のための措置を講じたとは認められないから、Y1が、X2に対して雇用確保のための措置を講じなかったことは、組合員であることを理由とする不利益取扱いにも組合運営に対する支配介入にも当たらない。

  争点3について

組合は、直ちに団体交渉に応じるよう繰り返し要求するのみで、8月6日以降の候補日を提示することもなかったから、団体交渉が開催されなかった原因をY1のみに負わせるのは酷であるといわざるを得ず、同社がX3の雇用確保等を議題とする本件団体交渉申入れに応じなかったことは、正当な理由のない団体交渉拒否には当たらない。

  争点4について

Y2は、団体交渉を拒否した状態ではあったが、事業廃止に伴い、X2を含む運転手8名全員を組合員であるか否かにかかわらず解雇したのであるから、同社が同人を解雇したことは、組合員であることを理由とする不利益取扱いにも組合運営に対する支配介入にも当たらない。

  争点5について

Y2が、解雇した従業員の雇用確保について、X2と他の非組合員の運転手とで異なる取扱いをしたということはできないから、同社が、X2に対して雇用確保のための措置を講じなかったことは、組合員であることを理由とする不利益取扱いにも組合運営に対する支配介入にも当たらない。

  争点6について

Y2が、組合の本件団体交渉申入れのうち、7月21日付団体交渉申入れ及び8月18日付団体交渉申入れに応じなかったことは、正当な理由のない団体交渉拒否に当たる。

 

<参考>命令に不服がある場合、当事者は次のいずれかの手続をとることができる。

・中央労働委員会に再審査申立て(申立人及び被申立人15日以内)

・東京地方裁判所に取消訴訟を提起(被申立人30日以内、申立人6か月以内)

問合せ先

労働委員会事務局審査調整課

電話 035320698569866990