【別紙】

 

1 当事者等の概要

⑴ 申立人X1(以下「組合」という。)は、主として中小企業で働く労働者が企業の枠を超えて結成している労働組合である。本件申立時点の組合員数は、1,400名である。

⑵ 申立人X2(以下「支部」といい、組合と支部とを併せて「組合ら」という。)は、平成30年9月28日に、自動車に関する国際品質保証規格であるIATF16949の審査員(以下「IATF審査員」という。)であり、被申立人Y1(以下「会社」という。)と業務委託契約を締結している者(以下「業務委託審査員」という。当時は14名)の過半数が組合の下部組織として結成した労働組合である。本件結審時(令和3年10月7日)の組合員は、支部執行委員長のX3のほかに、X4、X5、X6及びX7の5名(以下「組合員ら5名」という。)である。

⑶ 被申立人会社は、平成20年4月30日に設立され、肩書地に本社を置く株式会社であり、自動車に関する国際品質保証規格であるIATF16949の第三者認証審査業務(以下「審査業務」という。)を始め、様々な国際品質保証規格に関する認証審査を主な業務としている。31年4月時点の従業員数は33名である。

なお、会社は、ドイツ連邦共和国に本社を置き世界各地に拠点を持つZ1の日本拠点(完全子会社)である。

⑷ IATFとは、国際自動車産業特別委員会(International Automotive Task Force)のことであり、欧米等の大手自動車メーカー及び自動車産業団体で構成され、自動車産業のための品質マネジメントシステムの認証審査制度の運営等を行う団体である。

IATF認証審査制度とは、IATFに承認された認証機関(以下「認証機関」という。)に所属するIATF審査員がIATF16949の認証を取得しようとする事業者を審査すること又は同認証を取得した事業者を定期的に審査することを通じて欧米等の大手自動車メーカーに納入される自動車部品がIATF16949の要求する基準を満たしたプロセスで製造等されているか否かを確認するものである。そのため、IATF審査員の資格要件、同審査員及び認証機関が守るべき共通の事項などがIATFの定めるルール(以下「IATFルール」という。)として一般的に定められている。

IATF16949とは、IATFが策定した品質マネジメントシステム規格であり、国際品質保証規格であるISO9001をベースとして、世界各国の自動車部品メーカー等が欧米等の大手自動車メーカーと取引するに当たり共通して要求される事項が規定されている。

 

2 事件の概要

平成30年9月28日、IATF審査員であり、会社と業務委託契約を締結している業務委託審査員のうちの一部の者は、組合に加入するとともに、支部を結成した。

10月2日、組合らが、業務委託審査員と会社との契約内容の改善を要求して団体交渉を申し入れたところ、10月3日、会社は、業務委託審査員が労働組合法(以下「労組法」という。)上の労働者に当たるか否か等の判断を留保するとしながらも、団体交渉申入れには応じる旨を回答した。この時、会社は、組合らに対し、組合員名簿の開示を求めた。また、1023日付け、26日付け及び11月2日付けの書面でも、会社は、組合員名簿の開示を求めた。

1119日、会社は、業務委託審査員全員を対象として、従来実施したことのなかったIATF業務委託審査員懇談会(以下「懇談会」という。)を行った上で、翌年の業務委託契約の改定に当たって業務委託審査員全員と毎年行っている個別面談を実施しようとしたが、組合員らは応じなかった。

1220日、支部執行委員長のX3と会社の審査部長(業務委託審査員のマネジメント等を職務とする会社の職制)であるY2とは、業務に関する面談を行った。その面談が終了した後の支部と会社との交渉方法に関する話合いの際に、Y2は、労働組合は認めないなどと発言した。

本件は、@業務委託審査員は、労組法上の労働者に当たるか否か(争点1)、A会社が、3010月3日付け、23日付け、26日付け及び11月2日付けの書面で支部の組合員名簿の開示を求めたことは組合らの運営に対する支配介入に当たるか否か(争点2)、B会社が、1119日に懇談会を開催したこと及び支部の組合員らを含む業務委託審査員全員と個別面談を実施しようとしたことが組合らの運営に対する支配介入に当たるか否か(争点3)、CY2が、1220日にX3に対し、支部の結成を容認しない趣旨の発言を行ったことが、組合らの運営に対する支配介入に当たるか否か(争点4)が争われた事案である。

 

3 主 文 <一部救済>

⑴ 文書交付

要旨:会社の審査部長が、支部結成を容認しない趣旨の発言を行ったことが不当労働行為であると認定されたこと、今後、繰り返さないよう留意すること。

⑵ 履行報告

 

4 判断の要旨

 支部の組合員らは、労組法上の労働者に当たるか否か(争点1)

労組法上の労働者に当たるか否かについては、契約の名称等の形式のみにとらわれることなく、その実態から客観的に判断する必要があり、現実の就業実態に即して、㋐事業組織への組入れ、㋑契約内容の一方的・定型的決定、㋒報酬の労務対価性、㋓業務の依頼に応ずべき関係、㋔広い意味での指揮監督下の労務提供、一定の時間的場所的拘束、㋕顕著な事業者性などの諸要素を総合的に考慮して判断すべきである。以下それぞれの要素に沿って検討する。

ア 事業組織への組入れ

会社は、自らの主力業務である審査業務を円滑に行うために業務委託審査員を極めて重要な存在として位置付け、会社に専属させている。そして、会社が審査先事業者と調整して決定した審査工数(日数)及び審査日程に業務委託審査員を割り振っている。

また、業務委託審査員は、会社を代表して審査業務を行っており、審査先事業者からの異議申立てや苦情があった場合には会社がこれに対応し、再発防止のために会社から業務委託審査員も含めた研修の中で取り扱われることがある。

これらのことからすると、会社は、審査業務の遂行に不可欠の存在として業務委託審査員を自らの事業組織に組み入れているものということができる。

イ 契約内容の一方的決定・定型的決定

会社と業務委託審査員との基本契約に相当する「審査契約書(アセッサーアグリーメント)」及び毎年の個別契約に相当する業務委託契約書は、共通の契約条項が定型的に定められており、個別に契約条項についての交渉がなされているとは認められない。また、業務委託契約書の付表にある報酬単価表も会社が作成した共通様式のものであり、業務委託審査員によって異なる金額を会社が設定している。

 会社は、審査業務の報酬について、平成30年の業務委託契約から大半の業務委託審査員が減額となる報酬単価表の変更を行っているが、その変更については、2912月の個別面談において、簡単に説明するだけで、変更の可否等について業務委託審査員と交渉することなく一方的に変更を実施している。

 以上のことから、業務委託審査員の契約内容は、会社によって一方的・定型的に決定されていると認められる。

ウ 報酬の労務対価性

会社の業務委託契約書には審査業務についての専属契約条項があり、業務委託審査員は、審査業務を会社以外の認証機関から受託することができない。加えて、組合員ら5名が審査業務とは別に行っているコンサルティング事業による収入が、審査業務収入を上回っていないことも考慮すると、業務委託審査員は、会社からの審査業務収入を主たる収入源として生活しているということができる。

業務委託審査員に対する会社からの報酬は、報酬単価に審査工数(日数)を掛けることで計算されている。報酬単価については、業務委託審査員によって会社が異なる金額を設定しており、審査工数(日数)についても、会社が審査先事業者と調整した上で決定している。また、審査日程についても会社が決定している。これらのことからすると、業務委託審査員の報酬は、会社が決定した報酬単価と会社の決定に基づいて審査業務を提供した時間によって算出されているといえる。

そして、審査業務にはIATF審査員資格が必要であり、「審査契約書(アセッサーアグリーメント)」上は、業務委託審査員が審査業務を行うに当たって、再委託を行ったり、自己の雇用する労働者を使用したりすることが許容されているものの、日本国内におけるIATF審査員が100名程度しかおらず、実際、組合員ら5名の中に審査業務に当たって他人の労働力を利用している者はいないことからすると、報酬は、業務委託審査員が自ら会社に労務を提供したことに対する対価とみるのが相当である。

エ 業務の依頼に応ずべき関係

 会社は、個別の業務を依頼する段階で、業務委託審査員の希望や事情等を考慮して審査工数(日数)及び審査日程を調整している上、業務委託審査員は、毎月末に3か月先までの予定が通知された段階で、審査日程の再調整を依頼したり、審査業務自体を断ったりすることができ、月末に出された翌月の発注書を断っても違約金が発生しないのであるから、会社の個別の業務の依頼に対する業務委託審査員の諾否の自由は、相当程度認められているということができる。

 したがって、業務委託審査員が、会社の個別の業務の依頼に応ずべき関係にあるとは認められない。

オ 広い意味での指揮監督下の労務提供一定の時間的場所的拘束

 () 広い意味での指揮監督下の労務提供

業務委託審査員は、具体的な指示、指揮監督等を受けずに会社から独立して審査業務を行っており、広い意味で会社の指揮監督下で労務を提供しているとまではいえないが、会社から、不十分な審査報告書について修正の指示を受けたり、審査業務について評価を受け、改善指導を受けるなど、審査業務の品質を保つための一定の管理を受けているということができる。

 () 一定の時間的場所的拘束

会社は、業務委託審査員に審査チーム及び主任審査員を指名する形で審査先事業者、審査日数(工数)及び審査日程を割り振る。審査先事業者に対する現地審査は、その製造現場である工場、本社、営業所等において、文書をチェックしたり、責任者と質疑応答をしたりするなどして行われる。そのため、現地審査を行う間は、業務委託審査員は、時間的場所的に拘束されることになるが、現地審査のスケジュールは、主任審査員(社員審査員又は業務委託審査員)が審査計画書において案を作成して、審査先事業者の承認を得るものであり、会社が決めているわけではないから、現地審査について、業務委託審査員が、会社から一定の時間的場所的拘束を受けているとまではいい難い。

現地審査以外の審査業務については、時間的拘束は特にないが、場所は、会社、現地審査の対象である審査先事業者(製造現場の工場、製造現場を支援する本社、営業所等)のほか、業務委託審査員の自宅、現地審査における宿泊先ホテルの自室内に限られている。しかし、会社、審査先事業者(工場、本社、営業所等)だけでなく、業務委託審査員の自宅や宿泊先ホテルの自室内で行うことも認められていて、会社がこれらのうちのどれかを具体的に指示するわけではなく、業務委託審査員が自由に選択できるのであるから、業務委託審査員が、審査業務に当たって会社から一定の場所的拘束を受けているとまではいえない。

 カ 顕著な事業者性

   () 業務委託審査員の事業者性

 業務委託審査員の審査業務については、審査先事業者、審査工数(日数)、審査日程等を会社が決定しており、業務委託契約書には専属契約条項があることから、業務委託審査員は、自ら営業して審査業務を獲得することはできない。

 組合員ら5名の審査業務による収入は、年間を通じた収入の総額が最大で1300万円を超える組合員もいて高額である。しかし、組合員ら5名の審査業務の従事日数をみると、収入の総額が高額な組合員は、それ相応に現地審査日数が多くなっており、前記ウのとおり、業務委託審査員の報酬は審査工数(日数)と対応しており、また、審査業務に当たって他人の労働力を利用している者はいないのであるから、結局、業務委託審査員は、会社に提供する自らの労務量を増やすことによって高額の収入を得ているとみざるを得ない。

 しかも主任審査員として現地審査を行うに当たっては、現地審査日数に加えて、現地審査の事前準備に1日程度、事後処理に0.75日程度を要するというのであるから、今後、収入をさらに大幅に増やすことには自ずと限界があることがうかがえる。

そうすると、審査業務において、業務委託審査員が、事業者として自己の才覚で利得している実態があるとは認められない。

   () コンサルティング業務

 a 組合員ら5名は、個人事業主として又は自らが経営する有限会社の事業として、会社との専属契約条項の対象になっていないコンサルティング業務を行っている。そして、組合員ら5名にとっては、会社から日本国内の大手自動車部品メーカーの審査業務を受託することは、コンサルティング業務の受託に有利に働く面がある。

   しかし、IATFルールにおいて過去2年間にIATF審査員がコンサルティング業務を行った相手方に対して審査業務を行うことが禁止されていることから、認証機関である会社は組合員ら5名のコンサルティング業務を把握しているにせよ、コンサルティング業務は、会社の行う審査業務とは別の業務である。そうすると、組合員ら5名が会社との業務委託契約とは別にコンサルティング業務を行っているとしても、そのことによって、審査業務を行う業務委託審査員に顕著な事業者性があると認めることはできないというべきである。

b 上記aを措いても、組合員ら5名のコンサルティング業務による収入は、会社からの審査業務による収入を補充する手段にとどまるものといわざるを得ず、その性質上大きく収入を伸ばすことは困難であるといわざるを得ない。

 キ 結論

  以上のとおり、業務委託審査員は、@会社の業務の依頼に応ずべき関係にあるとはいえず(上記エ)、A広い意味での会社の指揮監督下で労務を提供していたり、審査業務に当たって一定の時間的場所的拘束を受けたりしているとまではいえない(同オ)が、B会社の主力業務である審査業務を円滑に行うために極めて重要な存在として会社の事業組織に組み入れられており(同ア)、C契約内容は会社によって一方的・定型的に決定されており(同イ)、D会社の業務委託審査員への報酬は労務に対する対価であるといえ(同ウ)、E顕著な事業者性を認めることはできない(同カ)。

  これらの事情を総合的に勘案すれば、業務委託審査員は労組法上の労働者に当たるということができる。

⑵ 会社が、3010月3日付け、23日付け、26日付け及び11月2日付けの文書で支部の組合員名簿の開示を求めたことは組合らの運営に対する支配介入に当たるか(争点2)

会社が組合員名簿の開示を求めたことには一応の理由が認められることに加え、当時の労使関係において、会社に組合員であることが知られることで組合員が動揺するおそれがあったとは認められず、会社が不当な意図や目的をもって組合員名簿の開示を求めたと認めるに足りる疎明もない。

したがって、会社が、組合員名簿の開示を求めたことが、組合らの運営に対する支配介入に当たるということはできない。

⑶ 会社が、1119日に懇談会を開催したこと及び支部の組合員らを含む業務委託審査員全員と個別面談を実施しようとしたことは組合らの運営に対する支配介入に当たるか(争点3)

 ア 懇談会

会社は、組合らに対し、支部結成通知の約1か月後にこれまで実施したことのなかった懇談会の開催を通知したものの、業務委託審査員には非組合員もいて、組合員が誰なのかを特定できていない状況下において、翌年の契約締結時期を控えた会社が、業務委託審査員全員に対し、30年業務委託契約の改定について会社の考え方を説明して理解を得ようとしたこと自体は、不自然なものではない。

会社は、組合らに対し、懇談会を開催する前にその趣旨を通知して組合らから組合員らに参加を呼び掛けるよう依頼しており、また、懇談会の後日開催された団体交渉の場で同資料を渡して説明を行っているのであるから、会社が、組合らを差し置いて、組合員らと個別に契約内容について合意を図ろうとしていたとみることはできない。

懇談会の資料をみても、これらを懇談会で説明することが、組合らとの団体交渉をないがしろにして、組合員らと個別に交渉を行おうとしたものであるとは認め難い。

これらのことを考慮すると、懇談会の開催によって、会社が、組合員らと個別に交渉を行い、組合らとの団体交渉の実効性を失わせようとしていたという組合らの主張を認めることは困難であり、会社が、懇談会を開催したことは、組合らの運営に対する支配介入には当たらない。

イ 30年における個別面談

個別面談は、会社が毎年行ってきたものであり、上記アと同様、業務委託審査員には非組合員もおり、組合員が誰なのかを特定できていない状況下において、翌年の契約締結時期を迎えた会社が、特定できていない組合員を含む業務委託審査員全員に対して個別面談を実施しようとしたことは、不自然な対応ではない。

しかも、会社は、組合員名簿が開示された後、団体交渉を通じてのみ組合員の契約条件の交渉を行うことという組合らの申入れを受け入れており、結果的に組合員らに対しては個別面談を実施しなかったことも考慮すれば、会社が、組合員を特定できない状況の下で、組合員を含む業務委託審査員全員に対して個別面談を実施しようとしたことは、組合らの運営に対する支配介入に当たらない。

⑷ Y2が、301220日にX3に対し、支部の結成を容認しない趣旨の発言を行ったことは、組合らの運営に対する支配介入に当たるか(争点4)

ア 1220日のY2の発言は、労働組合を認めない、会社において労働組合は基本的には存在として認めていないなどと、組合らの存在を否定するものであり、また、労働組合を通して契約内容の改善を切望するのは駄目である、それを前提に落とし所を考えてほしいなどと、業務委託審査員の契約内容について組合らを通じて集団的に調整、決定することを否定し、組合らを通じてではない交渉の在り方を求めたものであるといえる。

イ 会社は、Y2の発言は、いわゆる「オフレコ」の会話、私的な会話の中で出たものであると主張する。

 しかし、X3は、Y2との業務に関する面談の終了後に、この機会に組合らと会社との関係について何とか丸く収めたい、公の場ではお互い引けないものが出てくる、何か落とし所はないかなどと支部と会社との関係についての話合いを持ち掛けており、これに対し、話合いに応じたY2は、会社において労働組合は基本的には存在として認めていないなどと、会社の立場で発言している。話合いに際し、「オフレコ」とすることを双方が了解したような事情はうかがわれない。このような状況からすると、この話合いは、組合の支部執行委員長と会社の審査部長による組合らと会社との関係に係る話合いとみるのが相当であり、そのような話合いにおいてなされたY2の発言は、会社の行為と同視できるものである。

ウ 会社は、Y2の発言は、Y2にとっては同じ大学の学部学科も同じ先輩であるX3から私的な会話に誘引、誘導された状態でなされたものであるとも主張する。

 しかし、上記イのとおり、この話合いは、組合の支部執行委員長と会社の審査部長による組合らと会社との関係に係る話合いであり、Y2は、X3の申出に対し、「あの話」のことかと聞き返した上で即座に落し所も必要であるなどと述べて話合いに応じ、自ら、労働組合は認めないなどの発言をしており、X3が、自分がY2と同じ大学の学部学科も同じ先輩に当たることを利用したり、発言を誘導したりしたということはできない。

 エ 会社は、X3がY2との話合いを無断で録音したことを違法な組合活動に当たるとして、録音反訳文の証拠能力を否定する。

しかし、X3とY2との話合いは、業務委託審査員の契約内容の改善に向けての方法論について話し合うものであり、組合の支部執行委員長と会社の審査部長による組合らと会社との関係に係る話合いである。そのような労使双方にとって重要な話合いを録音しておこうとすることは、基本的には理解できることであり、録音が無断で行われていることを除けば、録音に当たっての手段や態様の相当性に疑義を生じさせる事情は特に認められない。そうすると、無断録音であることのみをもって、当該録音反訳文の証拠能力を否定することはできない。

 オ 以上のとおり、1220日のY2の発言は、会社の審査部長が、組合らと会社との関係に係る話合いにおいて、組合の支部執行委員長に対し、組合らの存在を否定し、業務委託審査員の契約内容について組合らを通じて集団的に調整、決定することを否定して、組合らを通じてではない交渉の在り方を求めたものであるから、組合らの組織運営に対する支配介入に該当する。

 

5 命令書交付の経過 

  申立年月日      令和元年5月29

  公益委員会議の合議 令和4年2月15

  命令書交付日    令和4年3月30