平成29年7月26日
東京都労働委員会事務局
当委員会は、本日、標記の不当労働行為救済申立事件について、命令書を交付しましたのでお知らせします。命令書の概要は、以下のとおりです(詳細は別紙)。
申立人 X1(組合)
被申立人 Y(株式会社)
平成27年11月17日、会社は、Aに対し、12月1日付けで朝霞工場へ異動するよう命じた(以下「12月1日付配転命令」という。)。Aは、12月1日付配転命令は、B部長代理によるパワーハラスメント(以下「パワハラ」という。)を契機とする不当な配置転換であるとして、東京労働局長に助言、指導の申出を行ったところ、11月30日、会社は、12月1日付配転命令を留保することとした。その後、東京労働局においてあっせんが2回行われたものの、あっせんは不調に終わった。
28年3月22日、会社は、Aに対し、4月1日付けで朝霞工場へ異動するよう命じた(以下「本件配転命令」という。)。3月28日、Aは、組合に加入した。
3月31日、組合は、会社に対し、本件配転命令の撤回、パワハラの是正等を議題とする団体交渉を申し入れた。同日、会社は、本件配転命令を撤回した。
4月5日、組合は、会社に対し、再度、本件配転命令の撤回の経緯等を議題とする団体交渉を申し入れた。しかし、本件結審日(29年4月21日)に至るまで、会社は、団体交渉に応じていない。
本件は、会社が、組合が28年3月31日及び同年4月5日に申し入れた団体交渉を拒否したか否か、拒否したとすれば、それは正当な理由のない団体交渉拒否に当たるか否かが争われた事案である。
<主文(要旨)>
(1) 会社は、組合が申し入れた団体交渉について、速やかに、かつ、誠実に応じなければならない。
(2) 文書掲示及び交付
要旨:平成28年3月31日及び同年4月5日に申し入れた団体交渉に応じなかったことは、東京都労働委員会において不当労働行為と認定されたこと。今後、このような行為を繰り返さないよう留意すること
(3) 履行報告
(1) 会社は、組合に対して形式的な質問を繰り返すことにより、組合からの団体交渉申入れに対する回答を理由なく先延ばしにし、開催日時、場所等、団体交渉応諾についての回答を避け続けている。このような会社の対応は、団体交渉の拒否に当たる。
(2) 会社は、団体交渉を拒否したことに正当な理由があったと主張しているが、採用できない。よって、会社の対応は、正当な理由のない団体交渉拒否に当たる。
(3) 組合は、団体交渉応諾のほか、文書交付のみを求めているが、労働組合法の趣旨にもとる会社の対応を踏まえ、文書の交付に加えて文書の掲示を命ずるのが相当である。
問合せ先 労働委員会事務局審査調整課 電話 03−5320−6992 |