平成28年 1月25日
東京都労働委員会事務局
当委員会は、本日、標記の不当労働行為救済申立事件について、命令書を交付しましたのでお知らせします。
命令書の概要は、以下のとおりです(詳細は別紙)。
申立人 X1(組合)、X2(支部)
被申立人 Y(学校法人)
Aは、24年2月に組合に加入し、その後、同年9月に、25年2月までの有期雇用の非常勤講師としてYに採用されたが、採用時に組合員であることをYに通知していなかった。
25年1月、組合が、Yに対して、Aが組合員であることを通知したところ、同年2月、YはAに、次学期の契約を締結しないこと(以下「雇止め」という。)を通知した。
同年6月及び10月、組合は、校舎の正門前の道路上にて学生や教職員に対してビラ配りを行った。その際に、複数のY職員が、組合員の前に立つとともに、組合員がビラを配ろうと差し出した手の方向に、自らの体や手を動かす等の行為を行った。
本件は、YがAを雇止めとしたことが組合員であるが故の不利益取扱いに、また、組合のビラ配りにおけるY職員の行為が組合の運営に対する支配介入に、それぞれ当たるか否かが争われた事案である。
<主文(要旨)>
⑴ Yは、組合らが行うビラ配布を妨げてはならない。
⑵ 文書の掲示及び交付
要旨:組合のビラ配りにおけるYの行為が、組合活動を妨害する不当労働行為と認定されたこと。今後、同様の行為を繰り返さないように留意すること。
⑶ 前項の履行報告
⑷ その余の申立ての棄却
⑴ Yは、Aに対して、授業の問題点を指摘して指導しており、また、Yの校長はAの低い勤務評価について証言をしている。一方で、組合からは、Aの勤務評価が良好であったと認められる証拠など、Yの主張を覆す証拠の提出はない。また、雇止めの通知が不自然な時期に行われたともいえない。このことから、Aの雇止めは、組合員であるが故の不利益取扱いであると認めることはできない。
⑵ Y職員は、組合が行ったビラ配りの際に、組合員の前に立つとともに、ビラを配ろうとする手を遮る等の行為を行った。また、Y職員が、自動車の往来から学生の安全を確保する行動をした事実はない。このことから、Y職員の行為は、安全確保のための誘導等ではなく、Yから何らかの指示を受け、公道上で平穏に行われていたビラ配りを妨害するものであり、組合の運営に対する支配介入に該当する。
問い合わせ先 労働委員会事務局審査調整課 電話 03−5320−6992 |