【別紙】

 

1 当事者等の概要

   申立人X1(以下「組合」という。)は、個人加入を原則とする労働組合であり、本件申立時の組合員数は約110名である。

   申立人X2(以下、組合と併せて「組合ら」という。)は、平成20年7月9日にY1(以下「会社」という。)に期間の定めのない正社員として入社し、会社が運営する英語及び中国語のコーチングスクールであるプレゼンス(以下「プレゼンス」という。)に所属していたが、産前産後休業及び育児休業を経て、26年9月2日から雇用期間を1年とする契約社員となった。

⑶ 被申立人会社は、プレゼンスの運営等を業とする株式会社であり、本件申立時の従業員数は22名、うちコーチ職は14名である。

 

2 事件の概要

会社と期間の定めのない雇用契約を締結する正社員で、プレゼンスの英会話コーチであったX2は、産前産後休暇及び育児休業を取得したが、職場復帰に当たり、子を保育園に入園させられる見通しが立たなかったため、26年9月1日、会社との間で、契約期間1年間、週3日勤務の契約社員としての雇用契約を締結した。その後、X2は、26年9月8日、子の保育園への入園及び自らの週5日勤務が可能になったとして、雇用契約を正社員に変更するよう会社に求めたが、会社は、同月19日の面談において、現時点では契約の変更に応じられないと回答した。

組合は、会社に対し、X2の組合加入を通知するとともに、団体交渉を申し入れた。1030日及び12月2日に団体交渉が開催されたが、会社は、X2の正社員への契約変更には応じなかった。

1022日、同月25日、同月29日及び11月1日、会社は、X2に対し、同人の言動について改善指導を行う業務改善指示書等合計19通を交付した。

27年7月31日、会社は、X2に対し、9月1日をもって同人との雇用契約関係を終了させる旨の雇用期間満了通知書を送付した。組合らは、会社に対し、X2の雇用継続等を求めたが、会社は、これに応じなかった。

本件は、以下の点が争われた事案である。

⑴ 会社の以下の行為が、それぞれX2が組合員であるが故の不利益取扱い及び組合の運営に対する支配介入に当たるか否か。

ア X2との間の雇用契約を正社員に変更しなかったこと。

イ 会社が261022日、同月25日、同月29日及び11月1日にX2に対して業務改善指示書等を交付したこと。

ウ 27年9月1日の雇用契約期間満了に当たり、X2との雇用契約を更新しなかったこと。

⑵ 261030日及び12月2日の団体交渉における会社の対応が、不誠実な団体交渉に当たるか否か。

 

3 主文の要旨

   文書の交付

要旨:会社のX2に対する業務改善指示書等の交付及び2回の団体交渉における対応が、東京都労働委員会において不当労働行為であると認定されたこと。今後、このような行為を繰り返さないよう留意すること。

⑵ ⑴の履行報告

⑶ その余の申立ての棄却

 

4 判断の要旨

   会社がX2との間の雇用契約を正社員契約に変更しなかったことが、同人が組合員であるが故の不利益取扱い及び組合の運営に対する支配介入に当たるか否か

ア 雇用契約締結の際、X2が希望すれば正社員へ契約変更することが予定され、会社も同様の認識であったとの組合らの主張について

会社は、X2との契約社員としての雇用契約締結に当たり、希望すれば直ちに正社員への契約変更が行われると受け取られるような説明はしていないのであるから、組合の主張を採用することはできない。

イ 会社がX2を正社員に契約変更しないこととしたのは団体交渉後であるとの組合の主張について

会社がX2を正社員に契約変更する予定がないと回答したのは、1119日付回答書によってであり、これは第1回団体交渉の後のことである。しかし、上記アのとおり、希望すれば直ちに正社員に契約変更できるわけではないところ、9月19日の面談において、そのことについてのX2とのやり取りも受けて、同日、会社が同人をクラス担当から外した経緯があり、これは、組合が同人の加入を会社に通知した10月9日より以前のことであった。その後、1018日の面談において、Y2社長は、X2に対し、クラスを担当させることができるとの判断に至らなければ正社員にしない旨を述べている。

そうすると、会社がX2にクラスを担当させられないと判断したのは、組合加入通知を受ける前の9月19日であり、また、同人にクラスを担当させられないことが同人を正社員に契約変更しない主な理由となっているのであるから、会社が第1回団体交渉後の1119日付回答書によって同人を正社員に契約変更する予定がないと回答したとしても、その回答のみをもって、会社が同人を正社員に契約変更しないこととしたのは団体交渉後であるということはできない。

ウ 会社が、正社員に契約変更しなかった理由として挙げている事柄について

会社のコーチ職において、クラスの担当が重要な職務に位置付けられていることは明らかであるし、また、X2のクラス担当を外した理由と同人を正社員に契約変更しない理由とは重複する点もあるので、以下、同人にクラスを担当させなかった理由も含め、会社の主張する同人を正社員に契約変更しない理由について検討する。

 () X2にクラスを担当させなかった理由

 a X2にコーチとしてのブランクがあることについて

会社は、9月3日の説明会における質問への対応から、X2のコーチとしてのブランクを懸念したと主張するが、同人は、その時点でのクラス分けの方法に係る質問に対し、復帰初日であったために即答できず、Y3に尋ねただけであり、このことをもってクラスを担当させない理由とするには疑問がある。

b X2のコーチとしての適格性について

   9月19日の面談におけるX2の発言を受けて、会社は、X2が納得できないというならばクラスを受け持たせることは難しいと述べ、同日、同人が担当する予定であったクラスの担当コーチを他の者に変更した。

X2の発言が、面談におけるやり取りの中で、正社員復帰への思いやそれがすぐに実現しないことへの不満などからなされたものであることを考慮すると、会社がこれをもって同人にクラスを担当させられないと判断したのは、同人の言動を殊更に悪く解釈しているといえなくもない。しかし、会社は、これらの発言について、X2への信頼を揺るがすものと捉えて強く問題視していたことがうかがわれる。

c X2に従業員同士の協調性及び会社との信頼関係が欠けていることについて

会社がX2の協調性の欠如の表れとしている言動については、X2が会社に対し自己の希望や主張を述べたり、他の従業員や労働局に対し会社の意に沿わない発言をしたりしたものにすぎないとみることもできるし、会社が協調性や信頼関係の欠如と評価するのは同人の言動に対する過剰な反応といえるものもある。

しかし、会社は、会社とX2との紛争をX2が労働局や他の従業員に話すことを、協調性や信頼関係に関わるものとして殊更に問題視していたことがうかがわれる。

d X2が保育のバックアップ体制について証明していないことについて

X2は、26年9月19日の時点で、自らの保育のバックアップ体制について一通り説明したが、会社は、それ以上説明を求めず、その後も、書類の提示や他の家族の状況の説明等を求めていなかったのであるから、このことをもって、X2にクラスを担当させない理由とすることには疑問がある。

 () X2を正社員に変更しなかった理由

会社は、X2にクラスを任せられるには至っていないし、必要な保育のバックアップ体制が整っていることも確認できなかったため、正社員としてクラスを担当させることができるという判断に至らなかったと主張する。

上記()のとおり、会社がX2にクラスを担当させなかった理由については、同人の言動を会社が殊更に悪く解釈しているところなどがないとはいえないが、会社がX2にクラスを担当させられないと判断したのは、前記イのとおり組合が同人の加入を会社に通知する以前のことであり、その判断の是非はともかくとして、少なくとも、同人が組合員であることが理由であるということはできない。

組合加入通知後も、X2をクラス担当から外したことや、会社の問題視する同人の言動等について、会社と同人との面談や組合との団体交渉等においてやり取りが行われているが、会社が同人にクラスを担当させないこととした理由や会社の主張する同人の問題行動は、基本的には9月19日から大きく変わっていない。そうすると、9月19日にX2をクラス担当から外した後、会社が同人にクラスを担当させることができるとの判断に至らなかったことについても、同人が組合員であることからというのではなく、むしろ、組合加入前に同人にクラスを任せられないと判断した会社の認識が、組合加入後の同人や組合との交渉等によっても覆らなかったとみるのが相当である。

エ 結論

前記アのとおり、X2の雇用契約は、希望すれば直ちに契約社員から正社員に変更するものではなく、クラススケジュールなど諸般の事情を踏まえた上で、会社との合意により契約変更する可能性があるというものであった。

上記ウのとおり、会社がX2を正社員に契約変更しないこと及び同人にクラス担当をさせないこととした理由には、同人の言動を殊更に悪く解釈したり、同人の言動に対する過剰な反応といえるものも含まれるなど、疑問の余地がないとはいえない。

しかし、会社がX2を正社員に契約変更できないとする主たる理由であるところの、同人にクラス担当を任せられないという会社の判断は、組合が同人の加入を通知する前からのものであり、会社がその後も同人にクラスを担当させるとの判断に至らなかったことについても、同人が組合員であることが理由であるとみることは困難であるから、会社が同人との間の雇用契約を正社員契約に変更しなかったことは、同人が組合員であるが故の不利益取扱いであるということはできず、組合の運営に対する支配介入にも当たらない。

   会社が平成261022日、同月25日、同月29日及び11月1日にX2に対して業務改善指示書等を交付したことが、同人が組合員であるが故の不利益取扱い及び組合の運営に対する支配介入に当たるか否か

ア 事実確認の手続や指導の内容等

() 業務改善指示書等において注意指導の対象とされている内容や、業務改善指示書等が発出された経緯をみると、面談等において会社がX2の言動を問題視している旨を述べたことは認められるものの、明確に口頭注意を行う旨を示したとは認められない。また、会社が自ら認めるように、本人に対する事実確認や釈明の聴取等の手続が行われたとも認められない。

加えて、会社は、合計で19通に及ぶ業務改善指示書等の中に含まれる警告書2通について、後日、作成日を訂正したり内容が重複していたとして自ら取り消したりしている。

以上のように、業務改善指示書等の交付に至る手続には杜撰な面があり、手続上相当であるとはいえない。

() 業務改善指示書等において指導の対象となっている事項には、上記()のとおり、本人からの事情聴取等が十分に行われていないものが見受けられ、また、会社が、X2にクラスを担当させない理由として挙げた事項と重複するものも多く、会社がX2の言動に過剰に反応して殊更に悪く解釈しているともいえるものも含まれる。

イ 交付の時期

   会社においては、従前、書面をもって従業員に対する注意指導を行ったことはなく、X2もそれまで書面による注意指導を受けたことがなかったところ、会社は、同人に対し、1022日に初めて業務指導書を交付し、その後、同月25日には、9月13日から1025日までの間の日付の業務改善指示書等16通を一括して交付している。

会社は、X2に問題行動があった際に、その都度、業務改善指示書等を作成しており、同人に交付する時期を検討していたところ、結果的に1025日の面談において交付することとなった旨を主張する。しかし、業務改善指示書等の性質からすれば、これらはその都度交付すべきものであり、かつ、会社にはX2にその都度交付する機会があったにもかかわらず、これほど多くの業務改善指示書等を一括して交付したのは不自然である。

注意指導書が初めて交付された1022日及び業務改善指示書等16通が一括して交付された同月25日は、同月9日付けで組合がX2の組合加入を通知し団体交渉を申し入れた後、第1回団体交渉の開催が決定された同月30日の直前であった。この交付時期に加え、業務改善指示書等に係る手続も相当とはいえないことからすれば、会社が、X2の組合加入及び組合の団体交渉申入れを知った後に、あえて日付を変えつつ急いで作成されたことがうかがわれる。

ウ Y2社長の発言

   Y2社長は、1018日の面談において、X2が相談先を労働局から組合に変えたことへの不信感を表明している。

加えて、Y2社長は、1025日に業務改善指示書等16通を一括交付する際には、組合との団体交渉の1週間前の今日渡しておく旨をあえて述べているから、組合との団体交渉までに業務改善指示書等の交付を間に合わせようとしたことは明らかであり、このことは、団体交渉の前に、X2の問題行動を書面に残し、署名を求めてその内容を既成事実化し、交渉を優位に進めようとする意図を推認させるものである。

エ 以上を考慮すると、会社が、これまで書面による従業員への注意指導を行っていなかったにもかかわらず、十分な手続も踏まず多くの書面を一括交付するという不自然な方法により、1022日、同月25日、同月29日及び11月1日にX2に対して業務改善指示書等を交付したことは、同人が組合に加入し、正社員への契約変更を求める同人の要求が組合との交渉事項となったことを理由とした不利益取扱いであるとともに、組合との団体交渉に先立ってこれらの書面を交付することにより、団体交渉を優位に進めようとするものであるから、組合の運営に対する支配介入にも該当する。

   会社が27年9月1日の雇用契約期間満了に当たり、X2との雇用契約を更新しなかったことは、同人が組合員であるが故の不利益取扱い及び組合の運営に対する支配介入に当たるか否か

ア 会社は、7月31日付雇用期間満了通知書において、X2との雇用契約関係を終了させる理由として、雇用契約期間中の同人の以下の()ないし()の言動から、同人には契約社員として誠実に労務提供する意思がないことが明らかであることに加え、会社との信頼関係が回復不可能な状態にまで毀損されたことを挙げているので、それぞれ検討する。

() X2が正社員への契約変更を強く主張し、他の従業員等に会社とのやり取りを伝えたりY2社長に契約社員としての勤務に否定的な発言をしたりしたことについては、会社がX2の言動を殊更に悪く解釈していたり、X2の言動に対する過剰な反応といえなくもないものであり、会社は、これらの言動を強く問題視していたことがうかがわれる。

() X2が勤務時間について希望を伝えたり、会社との面談において会社を信頼できない旨を発言したりしたことについても、上記()と同様である。

() X2が他の従業員に自分が受けている処遇について話したこと等についても、前記()と同様である。

() X2がマスコミの取材を受けたことについては、会社は、自らがマタニティハラスメントを行ったとの報道がなされたことを問題視したものである。

() X2が事業所内で繰り返し無断録音行為を行ったことについては、就業規則に違反する行為に当たる可能性がある。一方、会社との労働紛争の渦中にある労働者が、自己防衛のために会社とのやり取りを録音することは、ある程度認められ得るものであるといえるところ、会社は、スタッフルームにおける録音は問題としているが、面談を録音すること自体は許容していることがうかがわれる。しかし、X2は、スタッフルームにおいて、再三の録音禁止の指導に従わず、出勤時から録音を継続するなどし、会社は、このことを問題視したものである。

() 会社が1022日、同月25日、同月29日及び11月1日に交付した業務改善指示書等は、前記⑵の判断のとおり、いずれも手続上相当であるとはいえず、X2がこれらへの署名等を拒否したことも直ちに責められるべきこととはいえない。そして、会社が保育園の情報を求めたことについては、会社が保育園からの連絡への対応や慶弔金の支給に必要であると考えたことによるものであるとみられる。

() X2が27年7月11日、Y2社長の退社命令に直ちに従わず、その場を離れた同社長の後を追ったことについては、その経緯をみると、X2が自分に不利な状況とみて、同社長が自分の業務用端末の保存データを確認することを阻止しようとしたためであるとうかがわれる。

() 業務外メールについては、確かに、少なくとも261210日の就業時間外並びに27年6月6日及び同月24日の就業時間中に、X2が業務用端末から他の従業員、テレビ局関係者と思われる者又は自らの私用メールアドレス宛てに業務外のメールを送信したことが認められる。

また、261210日付メールには、会社との紛争に勝利するために職場にとどまっているとも受け取れる内容の記載があり、27年6月6日付メールには、会社に社会的制裁を与えたい旨や、Y2社長に嫌味なメールを送って仕掛けた旨の記載もされている。

イ 前記⑴の判断のとおり、会社は、X2が組合に加入する前において、同人との信頼関係が失われており同人にクラスを任せられないと判断していたものであり、上記ア()ないし()のとおり、その後の同人の言動からも、同人との間の信頼関係が失われ、同人に安心して業務を任せることができないとの従前の認識を覆すに至らなかったものと認められる。マスコミへの情報提供や無断録音行為、業務外メールなどのX2の行為(上記ア()()())は、組合活動とは無関係とはいえないものの、会社が組合加入前から同人の行為は会社との信頼関係を失わせるものと認識していたことからすれば、同人が組合員であることや同人の行為が組合活動と関係することの故に、会社が同人の行為を問題視したとみることは困難であり、むしろ、マスコミへの情報提供等の同人の行為そのものを問題視したとみるのが相当である。

ウ 一方で、前記⑵の判断のとおり、会社が261022日、同月25日、同月29日及び同年11月1日にX2に対して業務改善指示書等を交付したことは、同人が組合に加入し、正社員への契約変更を求める同人の要求が組合との交渉事項となったことを理由とした不利益取扱いであるとともに、組合の運営に対する支配介入にも該当する。また、会社がX2との雇用契約を終了することを決定した当時、会社がX2を正社員に契約変更しないことや、同人に対する自宅待機命令等を巡って会社と組合との労使関係は対立的な状態にあった。

しかし、これらのことを考慮してもなお、会社が27年9月1日付雇用契約期間満了に当たり、X2との雇用契約を更新しなかったことは、上記イのとおり、組合加入前に同人にクラスを任せられないと判断した会社の従前の認識が、その後の同人の言動からも覆るに至らなかったためであると認められ、その会社の認識の是非はともかくとして、少なくとも、同人が組合員であること又は同人の組合活動を理由としたものであるとまではいえない。したがって、会社が同人との雇用契約を更新しなかったことが、同人が組合員である故の不利益取扱いに当たるということはできないし、組合の運営に対する支配介入に当たるともいえない。

⑷ 261030日及び12月2日の団体交渉における会社の対応は、不誠実な団体交渉に当たるか否か

ア 日程調整について

2回の団体交渉の日程は、いずれも、組合と会社との互いの都合により調整を行った結果決定されたものであるから、会社がむやみに日程を引き延ばしたものとはいえない。

イ 2回の団体交渉における会社の対応について

 2回の団体交渉を通じてみると、X2の正社員への契約変更については、会社が団体交渉での発言を翻したとまではいえず、双方の立場の違いから議論がかみ合わない中、会社は、組合らの質問に的確に答えていないところもあったが、会社の認識や立場について一定程度の説明は行っているともいえる。

   しかし、X2にクラスを担当させない理由については、会社は、一定程度の説明は行ったものの、文書回答している旨を繰り返し述べて具体的な説明を回避しようとしたり、ほかにも多分幾つも理由がある、全てではないが、「とりあえず」などと曖昧な説明を行ったりしており、組合の理解を得ようと努力していたと評価することはできない。

   業務改善指示書等については、会社は、第1回団体交渉では、議題に上ることを想定していながら、あえて交渉することを避けており、第2回団体交渉では、説明すべき立場にあったにもかかわらず、むしろ組合が事前に質問しておくべきであったなどと繰り返して、説明を尽くす努力を怠っていたものといわざるを得ない。

さらに、会社は、第1回団体交渉では組合の求めにもかかわらず、組合がそれまでに発した文書や団体交渉議題に関する資料等の文書を机の上に置かず、また、組合の制止も聞かず、会社従業員の行動指針等を読み上げ続け、第2回団体交渉では組合側を茶化すような発言を繰り返すなどしている。このような会社の交渉態度は、団体交渉に臨む姿勢として問題がある。

ウ 結論

以上からすれば、261030日及び12月2日の団体交渉における会社の対応は、組合の理解を得るよう十分な説明に努めたということはできず、不誠実な団体交渉に当たるといわざるを得ない。

 

5 命令書交付の経過 

 ⑴ 申立年月日     平成27年7月31

 ⑵ 公益委員会議の合議 令和2年7月21

 ⑶ 命令書交付日    令和2年9月17