平成28年6月28日
東京都労働委員会事務局
当委員会は、本日、標記の不当労働行為救済申立事件について、命令書を交付しましたのでお知らせします。命令書の概要は、以下のとおりです(詳細は別紙)。
申立人 X(組合)
被申立人 Y(株式会社)
平成21年4月頃、会社は、一定の売上高があれば賞与を支給できる旨を発言し、その後の団体交渉においても同発言の事実を認めたものの、経費の増加等を理由に、一定の売上高に達したが25年夏季賞与及び同年冬季賞与を支給しなかった。
組合は、25年5月に、当委員会に前件の不当労働行為救済申立てを行い、11月13日、和解協定書(以下「前件協定書」という。)が締結された。同協定書の第4項には、26年1月から1年間、月額5,000円のエコ奨励調整手当を支払うこと、27年以降の同手当の存続、改定について、組合に資料を提供し誠実に協議すること、従前締結した協約を遵守すること等が定められていた。しかし、組合と会社との間の同手当に関する協議は妥結に至らず、会社は、27年1月以降、同手当を支給していない。
また、前件協定書において、団体交渉には、基本的に社長が出席することとなっているが、26年3月開催の第133回団体交渉及び第134回団体交渉に社長は出席しなかった。
本件は、@団体交渉に社長が出席しなかったことが不誠実な団体交渉及び支配介入に該当するか否か。A会社が、25年夏季賞与及び同年冬季賞与を支払わないことが支配介入に該当するか否か。B27年1月以降のエコ奨励調整手当に関する会社の対応が不誠実な団体交渉及び支配介入に該当するか否か、が争われた事件である。
<主文(要旨)>
⑴ 会社は、従前締結した協定書(団体交渉への社長出席)を遵守しなければならない
⑵ 会社は、27年1月以降のエコ奨励調整手当に関する団体交渉に誠実に応じなければならない
⑶ 文書の交付及び掲示
要旨:団体交渉に社長が出席しなかったこと及び27年1月以降のエコ奨励調整手当に関する会社の対応が不当労働行為と認定されたこと。今後、同様の行為を繰り返さないよう留意すること。
⑷ 前項の履行報告
⑸ その余の申立ての棄却
⑴ 会社は、社長が団体交渉に出席できないほどの健康状態であったと主張するが、そのような事実は認められず、社長が団体交渉に出席しなかったことは不誠実な団体交渉及び支配介入に該当する。
⑵ 会社が一定の売上高に達した際に賞与を支給すると確約したとは認められず、25年夏季賞与及び同年冬季賞与を支払わないことは支配介入には該当しない
⑶ 会社が、27年1月以降のエコ奨励調整手当について正式な会社提案を提示したのは同手当の終期後の27年1月であったことなどからすれば、会社の対応は不誠実な団体交渉及び支配介入に該当する。
問い合わせ先 労働委員会事務局審査調整課 電話 03−5320−6979 |