平成27年4月16日
東京都労働委員会事務局
当委員会は、本日、標記の不当労働行為救済申立事件について、命令書を交付しましたのでお知らせします。命令書の概要は、以下のとおりです(詳細は別紙)。
申立人 X(組合)
被申立人 Y(株式会社)
会社との間でフランチャイズ契約を締結する加盟者であり、B加盟店の店長を務めるAらは、平成24年8月、組合を結成した。組合は、9月、会社に対して組合結成を通知するとともに、会社が再契約の可否を決定する具体的判断基準に関して団体交渉を申し入れた。
会社は、Aに宛て、加盟者の希望に沿えない場合は、その加盟者に対し再契約を行わない理由を具体的に明示している旨を記載した文書を送付し、団体交渉応諾については明確な回答を行わなかった。
組合は、10月、再び団体交渉申入書により、改めて団体交渉に応じられるかについて、Aではなく組合に回答するよう会社に要求したが、会社は、再度、A宛の文書により、加盟者個人との話合いの場を設ける等として、団体交渉に応ずるとの回答をしなかった。
本件は、@本件組合員である加盟者は、労働組合法上の労働者に当たるか否か、A労組法上の労働者に当たる場合、会社が個々の加盟者と話合いを行うと回答し、団体交渉に応じていないことは、正当な理由のない団体交渉拒否に当たるか否かが争われた事案である。
<主文(要旨)>
⑴ 会社は、組合の組合員と会社とのフランチャイズ契約の再契約の可否を決定する具体的な判断基準についての団体交渉を拒否してはならず、速やかに、かつ、誠実に応じなければならない。
⑵ 会社は、下記内容の文書を組合に交付しなければならない。
「会社が、組合の申し入れた団体交渉に応じなかったことが不当労働行為であると認定されたこと。今後、このような行為を繰り返さないように留意すること。」
⑶ 会社は、前各項の履行報告をしなければならない。
⑴ フランチャイズ契約であっても、その実態においてフランチャイジーがフランチャイザーに対して労務を提供していると評価できる場合もあり得るから、フランチャイズ契約との形式であることのみをもって、労働組合法上の労働者に該当する余地がないとすることはできない。本件の実態を鑑みると、加盟者は、会社に対して労務を提供していたといえる。
⑵ @本件における加盟者は、会社の事業遂行に不可欠な労働力として組織内に確保され、組み入れられていること、Aその契約内容は、会社によってあらかじめ定型的に定められたものであること、B加盟者の得る金員は、労務提供に対する対価又はそれに類する収入としての性格を有するものといえること、C加盟者は、会社からの業務の依頼に応ずべき関係にあること、D広い意味での指揮監督の下で労務提供している実態があること、E本件における加盟者が顕著な事業者性を備えているとはいえないこと。以上のことから、本件における加盟者は、労働組合法上の労働者に当たる。
⑶ 本件の団体交渉申入れ事項であるフランチャイズ契約の再契約の可否の基準は、義務的団体交渉事項に当たると解するのが相当であり、会社が、組合との団体交渉に応じていないことは、正当な理由のない団体交渉拒否に該当する。
問い合わせ先 労働委員会事務局審査調整課 電話 03−5320−6985、03-5320-6979 |